ヤクザのような上司がいるとき
ブラック企業につきものなのが「ヤクザのような上司」です。基本的にブラック企業は意図的に社員をこき使うものです。まるで本当に「その筋」の人なのかと間違うくらい、ブラック企業には恐い人がいるものです。
そのような人の「役割」は単純明快です。働くスタッフが余計なことを考えないようにするために存在しています。「余計なこと」とは、労基署に駆け込んだり自分の会社に対して「不利益」になるようなことをしたりしないかどうかを「見張る」わけです。そして、そのようなことを企んでいない人、考えてもみない人に対しても「業績」を武器に圧力をかけます。ブラック企業のもっとも「ブラック」らしい存在が、このような「不条理な上司」ということになります。
一般的にブラック企業に多いタイプの業種が「営業」です。「営業」とはなにかを「売る」仕事になります。世の中には「売る」ためのものはたくさんあるものです。「売る」ということは、それを「買う」人がいるわけで、社会的にはそれを「消費」と呼びます。何かを買う人のことを「消費者」といいます。私たちは日ごろからさまざまなものを消費して生きています。生きるために絶対に必要なものが「衣食住」ですが、それらの「衣食住」以外にもただ生きるために必要なものがたくさんあるのです。
それらを買う際、お金を払う際には私たちは「自分で選んだ」という錯覚をしているものですが、実際は違います。それを「売ろう」と考えている人がいて、売るための最大限の努力をしたから、それを買うことができるというわけなのです。それを「買う」ためには、その対象のことを「いいな」と感じる必要があるのですが、それすらも人に誘導されているということです。
そのような「誘導」のもっとも直接的な方法が「営業」です。ビジネスの最前線、「モノを売る」というもっとも根本的な取り組みです。
何かを売るためには、何かを作らなくてはいけないということはありません。それを「仕入れる」ということや、「販売を代行する」ということでそれらの販売業をすぐにでも始めることができるのです。
ブラック企業の多くに、そのような「販売代行」の仕事が存在します。販売は数字が見やすく、また、ひとりのスタッフに対して「ノルマ」を設定しやすいのです。そして「営業」という職種自体が営業マンの「精神的体力」に依存するところが大きく、「精神」を発奮させるためにはなにかの「キッカケ」が必要です。一般的は「インセンティブ」が営業マンにとっての精神的カンフル剤ですが、ブラック企業では、それが「恐怖」なのです。
恐怖によってスタッフを縛り、恐怖によって突き動かす。そして途方も無い「ノルマ」を盾にしてスタッフを追い詰めるのです。そのような「ブラック企業」には必ずといっていいほど「恐いスタッフ」がいるもので、それが日常になってしまった人にとっては、「当たり前のこと」になってしまうのが恐ろしい点です。
ブラック企業では「戦略」として、そのような人材を確保しているといってもいいでしょう。