ブラック業とは

「社則」を疑うこと

各企業ではその会社独自のルールとして「社則」を定めていることが多いものです。それは会社が組織として円滑に機能するように定められたものであることがほとんどでしょう。

さまざまな業種が世の中には存在します。それらのさまざまな仕事が絡み合って社会というものが成立しています。それらの職種には独自のルールがあって然るべきです。食品を取り扱うのであれば、法律で定められた以上に衛生面、鮮度を気にすることが必要です。それは働く人の「努力」ではなく、それにかかわるひとが徹底するべきルールとしてマニュアル化しておくことが組織に求められることです。マニュアルを遵守することで、各従業員は会社が定める品質を満たすことができるということです。

これらはある意味「仕事の内容」に対する決まりであって、仕事人として遵守すべきないようです。業務のルールと言ってもいいでしょう。それとは別に、人が集まって働くうえでの「取り決め」のようなものも定められています。それが「社則」です。例えば「朝8時からが始業である」という内容や、「昼の12時からは昼食兼休憩時間である」というような内容です。それは人が集まってひとつの事業を推進するために必要なルールです。ルールをそれぞれが遵守することで、組織的な活動が可能になるのです。自分は夜型なので、自分だけは夜に働きたいと考えたとしても、それは叶わないことです。人と協調することが組織には必要なことで、それを実践するためにはある程度の決まりは絶対に必要なことなのです。

ただ、その社則は企業倫理として法律に遵守している必要があります。会社によって休日の指定などが違うということは当たり前であり、そのようなことは働き始める前に知っておくべきこと、納得しておくべきことではあるのですが、人を雇う際に提示した条件と、「実際」が異なるということはルール違反です。雇用する側と、雇用される側は対等な状態で働く条件というものを確認したはずです。それが入社後に覆されるということは由々しき事態です。

また、残業の申請方法なども会社によって定義されている場合があります。中には一時間単位でしか認めないというような横暴な会社もあります。それは明らかに労働基準法に違反した決まりです。そのような法律に対して矛盾があるような社則は、社会的に認められるものではありません。その社則を盾にした会社と係争になった場合は、労働者が勝つことが多いのです。

ただ、会社と係争することができる人自体が少ないもので、ほとんどの場合が泣き寝入りでしょう。それが「ブラック企業」を横行させる温床にもなっています。雇われている側は立場が弱いとして、虐げられたままでいることが多いのは、「組織」に対して「個人」で戦いを挑むのが「恐い」からです。反発するよりも、「従属」する方が人は楽だと感じます。だからこそ、世の中からブラック企業がなくならないのでしょう。本当は違反だとわかっているのに、会社に従属する人も、ブラック企業を育てていることになるのです。