ブラック業とは

会社の風土を見極めること

それぞれの会社には「風土」というものがあります。人が集まれば何らかの形としてそこだけのローカルマナーのようなものが現れるものですが、「会社」でのそれはまるで社則のような強制力を人に与えます。

その環境に慣れていない頃は、そのルールが強制的なものなのか、それともなんとなく守ればいいというものなのか、迷ってしまうことでしょう。例えばそこで働く人がみんな始業時間の一時間前に出社していたり、30分だけの残業は申請しないといったことだったり、「これはいいのか」と感じるその職場でのマナーに戸惑うことがあるかもしれません。そして、その「マナー」とされていることに対して異を唱えることなど出来ないかもしれません。

会社によってはそれが従業員の自発的なものなのか、それとも会社に強制されているのか、際どいところかもしれません。朝の出社、定時までに出ればいいはずであるのに、一時間や三十分前に出なければ「遅い」と言われてしまう、また、周りのスタッフはみんな早いので、自分だけが遅いと感じてしまう、そのようなことが実際あるのです。

それが度を越していたとしても、ほとんどの従業員がそれを遵守している場合、もはやそれは「ルール」として扱われていることになります。中にはそのように振る舞うことをしなければ「勤務態度」が悪いとされてしまうケースもあるでしょう。そのような事態はその会社に「入社してすぐ」に判明するものです。ほとんどの場合、その会社での「面接」のイメージは入社してからすぐに変わるものなのです。その会社の「風土」というものは、その会社で働く人が作り上げているものだからです。

恐ろしいことに、「外から見れば異常」だということも、そこの集まる人の多くが遵守すればそこでは「それが正義」ということになってしまうものです。多くの人が「正しい」といえば、そこから外れること自体が「異常」という扱いを受けてしまいます。

多くのブラック企業では、そのような世間から見れば異常なことをうまく会社の風土として定着させていることが多いものです。文章としてまとめているわけではないものの、それを誰も抗えない「ルール」として定着させているのです。それによって社員を縛り、会社にとって都合のいいように扱っているのがブラック企業です。

その異常な風土を納得して受け止めるのか、それとも「法律違反だ」として抗うのかは人それぞれでしょう。「これではいけないから変えてみせる」と息巻くのも自由なのですが、ほとんどの場合は、ブラック企業ではその異常な風土を定着させることで経営を成り立たせているため、変えようなどと思っても変わらないことの方が多いものです。挑んでみたところで徒労に終わってしまうことがほとんどでしょう。ですから、そのような異常な正義、世間から見れば明らかにおかしい正義を振りかざす「ブラック企業」に入社しないことが一番なのです。入社してからでは、すでに遅いということです。